「分散投資」という買い方
(前編)では「リスク」と「許容度」までのお話を書きました。
この記事は(後編)となっておりますので、まだ(前編)を読んでない人は先に読んでみてください。
「分散投資」って言葉、聞いたことありますか?
投資の世界には「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があります。
もしカゴを落としてしまうと ほとんどの卵が割れてしまいますが、複数のカゴに卵を分けていたら、一つのカゴを落としてしまっても 他のカゴの卵は無事というわけです。
ここで初心者が勘違いしやすいのが(私も初心者ですが)、例えば株式を買う場合に「トヨタ」だけ沢山買うのは危険だから、「日産」や「ホンダ」や「マツダ」にも資金を分けて購入すれば分散されて安心!・・・ていうパターン。これは本当に危ないです。
基本的に同じ業種においては同じような値動きをすることが多く、そもそも株式だけでなく債権などにも分散させるのが良いとされています。
とはいえ、今回のコロナショックのような大暴落の時は ほとんどの商品が値下がりしました・・・。
さらに分散には商品を分けるだけでなく、時間の概念も存在します。
「ドルコスト平均法」という考え方
聞きなれない言葉ですね。
私も投資の勉強をするまで聞いたことがありませんでした。
まずは下の表をご覧ください。
A社とB社の1年間の株価の推移を表しています。
縦軸が1株あたりの株価を表しています。
(株は通常100株単位で売買されます)
青色のA社は1度も値下がりすることなく、12月には30%も値上がりしました。
赤色のB社は値下がりを続け半値になり、その後なんとか元の値段に戻りました。
ここで問題です。
パターン1 | A社の株を1月に12万円分買う |
---|---|
パターン2 | A社の株を毎月1万円分買う |
パターン3 | B社の株を1月に12万円分買う |
パターン4 | B社の株を毎月1万円分買う |
4つのパターンのうち、どの買い方が一番利益を得られると思いますか?
直感的にはA社の方が得をしている気がしませんか?
では答え合わせをいたします。
4つのパターン全てが 12万円の資金を投入しました。
12月末時点で持っている株を全て売却した時の値段が次の通りです。
(売買手数料などは加味していません)
パターン1 | 156,000円(+36,000円) |
---|---|
パターン2 | 136,955円(+16,955円) |
パターン3 | 120,000円(±0円) |
パターン4 | 169,127円(+49,127円) |
どうですか?
皆さん正解できたでしょうか?
納得できない人、いらっしゃいますか? 何か計算間違ってるんじゃないかって? いえ、計算は間違っていません。
ではなぜ? なぜかと言うと それは数(取得株数)に秘密があります。
それぞれのパターンの12月時点での取得株数に注目してみましょう。
パターン1 | 12万円÷1000円=120株 |
---|---|
パターン2 | 1万円÷1000円×3か月+1万円÷1100円×3か月+1万円÷1200円×3か月+1万円÷1300円×3か月=105.35株 |
パターン3 | 12万円÷1000円=120株 |
パターン4 | 1万円÷1000円×2か月+1万円÷900円×2か月+1万円÷800円×2か月+1万円÷700円×2か月+1万円÷600円×2か月+1万円÷500円×2か月=169.13株 |
わかりますでしょうか?
パターン2や4のように、毎月同じ額だけ購入していくと 株価が高いときには少ししか買えず、逆に株価が低いときには多く買えることになります。
ただA社だけを比べた場合、一括で購入したパターン1の方が利益が出ているのは一番安い時(底値)で買えたからです。
もしB社を底値で購入出来ていたら 売却した時の値段は240,000円になり+12万円にもなります。
このように一番得をする買い方という訳ではありませんが、値動きに波のある金融商品に投資をする際、投資タイミングや投資期間といった「時間」を分散してリスクとリターンを平準化できるという利点があります。
価格が変動する金融商品を常に一定の金額で、かつ時間を分散して定期的に買い続ける手法
そして、そんなドルコスト平均法を実践する時には「つみたてNISA」が相乗効果を生み出します!
毎年40万円までを最長20年間(最大800万円)の投資額が非課税投資枠となり、そこから得られる分配金や譲渡益には税金が掛かりません!
とはいえ、投資対象が一部の投資信託に限られていたりしますので 一長一短かもしれません。
投資をする際には「分散投資」を心掛けよう!
「つみたてNISA」では投資信託にしか投資できませんが、投資信託には大きく分けて「アクティブファンド」と「インデックスファンド」があります。
「アクティブファンド」や「インデックスファンド」については、機会があればまた別の記事で・・・。